心を整えるためのハードシップ研修

私が勤めていた会社では将来の幹部候補を対象とした2泊3日の幹部研修が行われています。途中で放棄して帰宅しようとする人が出てくるようなとても厳しい、いわゆるハードシップ研修です。
幹部研修と言ってもISOセミナーやエネルギーマネジメントシステム、運営や経営のノウハウを学ぶようなものではなく、仕事に対するモチベーションなどを徹底的に見つめ直すという精神修行のようなものです。その前提として、まずは礼儀作法を厳しくしつけられます。部屋に入るときは大声で「入ります!」と叫び、言われた側は「どうぞ!」と叫ぶ。返事や発言は常に大声で。席を立ったら瞬時に椅子を戻し机上整理する。人にものを渡すときは両手で渡す。移動は常に早足で迅速になどなど。それらが少しでも疎かになると、すさまじい勢いで怒鳴られ、完膚なきまでに叱責されます。理不尽と思われることでもとにかく黙って従うことが求められる、そんな研修なのです。
はじめは「こんなことして何の役に立つのか?」と思っていましたが、ここで狙いとされていたのは、不必要なプライドや我を一度捨てて、その上で自分を見直すための下準備だったのです。どんなに馬鹿らしいと思うことでも、一度は素直に一生懸命やってみるという姿勢を作ることが目的だったと思います。
不思議なことに、そのあとで自分の仕事ぶりなどを見つめ直すと、いかに多くの人に支えられているか、その上で仕事ができていることのありがたさのようなものに、すっと気が付くことができました。
結局私はその会社を去りましたが、今でも愚直にまずはやってみるという姿勢は残っています。その時に研修は単なる企業の幹部研修ではなく、その後の生き方にも影響していると感じています。いま思えばとても意味のある、価値ある研修だったと思います。